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zoom RSS 『父、帰る』

<<   作成日時 : 2004/11/03 20:33   >>

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父親の空白の12年間や行動心理についての説明不足を認めるかどうかで、観た人の評価(好き嫌い)がはっきり左右されているようだ。
私はと言うと、説明不足とはいっても観念的だったり不条理だったりするわけじゃないので、監督が意識的に作り出した物語の余白を、さほど困難なこともなく好きなように埋められるのが、観ている間も観終わってからしばらくのうちもとても楽しかった。
なぜ12年ぶりに姿を現したかというのは、やはり刑務所に服役していたんだろうね。カタギの人って感じじゃないし、ストイックな雰囲気は長い獄中生活で培われたものだろう。母親が息子たちに言ったという「父親はパイロットだった」という言葉は、いかにも子供を喜ばせるための嘘って感じで、観る側に対しては実際はそんなに立派な人間じゃないということを強調しているような気がする。
息子たちをあの島に連れていったのは、自分も少年時代に父親にあそこに連れていかれ、大人(男)になるための通過儀礼みたいな日々を過ごしたからじゃないんだろうか。12年ぶりの再会にどう接触したらいいのかわからず、とりあえず父が自分にしてくれたのと同じことを自分も息子たちにしてやろうと思ったのかも知れない。彼が廃屋から掘り起こした物は、自分が少年時代に埋めた大切ななにかで、いつの日か息子たちに譲り渡すつもりだったのでは。それが帰りの車中なのか何年も先のことなのかは、さすがに見当がつかないけど。
自分が考えた中で、一番自分自身納得できる想像はこんなとこだけど、他にも
父親は強盗で服役して、あの掘り出した箱には金品が入ってる、とか、父親と思われた男は実は父親ではなく母親の恋人で、本当の父親の失踪直後からの長い付き合い(だから幼い子供たちと一緒の写真がある)、等々いろいろ考えてた。
もちろん、観客があれこれ考えを巡らすことができるということだけがこの映画の素晴らしさではない。
強圧的に君臨する父親に神話世界を感じさせつつも、同時に日常を蔑ろにすることもなく、崇高さと普遍性を高いレベルで描き出す力量は驚異的だし、父親と息子たちの反目と絆の往来から生み出される微妙な距離感も実にスリリングだ。
☆☆☆☆★

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映画『父、帰る』
邦題:父帰る原題:VOZVRASHCHENIE(Возвращение)監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ 音楽:アンドレイ・デルガチョフ 出演:ウラジーミル・ガーリン、イワン・ドブロヌラヴォフ、コンスタンチン・ラヴロネンコ、ナタリヤ・ヴドヴィナ製作:ロシア、2003年『父、帰る』(父、&... ...続きを見る
EVERSMILE(エバースマイル)
2004/12/12 02:42

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